『エアコンクリーニング業者必見。PART3 メーカー修理担当が教えるトラブル対策術 エアコンが匂うクレーム編』

冷房の使い初めに嫌な匂いが風と一緒に出てくるという経験をした方は多いと思います。

特にシーズン初めの臭いは我慢できない方が多いらしくて、エアコンの故障と言って大至急の修理依頼をしてくる方もいらっしゃいます。
でも、エアコン自体は単体では臭いを出さないことを皆さんご存知ですよね
ご存知のように、臭いはエアコン自体ではなく、臭いの元となるものが堆積してエアコンに潜んでいるわけですから、修理依頼を言ってくるお客様にはエアコンクリーニングをお勧めしています。

エアコンクリーニングを初めて経験されるお客様は、作業中に出てくる廃液の汚れを見たとたと驚きと汚れが落ちたことに喜んでくれるのが大半なのですが、中にはクリーニング後でも臭いがするというお客様がいらっしゃいます。
皆さんは経験ありませんか
臭いは個人差もあるので対処に困るときもあるのですが、我々が伺って確認をするとクリーニング後なのに明らかに臭いがするエアコンがあります。
 
◆みなさましっかりお仕事されておられるとは思いますが、臭い再発は洗浄不足の場合もあります。
クリーニング後も臭いがする場合は、汚れやカビ、雑菌が完全に落ちていないためで洗浄不足が原因のこともございます。
 
おさらい
今更なのですがエアコンの臭いについておさらいをしましょう
 
◆臭いの元
1.たばこのヤニ
2.人の汗
3.ペット
4.カビ、雑菌
5.その他
これらが起因して嫌な臭いとなります、これは釈迦に説法ですね
 
◆エアコン基本構造
室内にあるエアコンの構造は大きく6点に分けられます。
電子基盤 :主にエアコンの電気的制御をします。
モーター :ファンと呼ばれる送風用の羽に連結されファンを回転させます。
ファン  :冷風を送り出します。
熱交換器 :アルミのフィンが沢山ついた箱に見えますが、ここで空気を冷やします。
フィルター:チリ、ホコリ等のごみを取り除きます。(中には臭い取るものもあります)
ドレンパン:簡単に言うと露受け皿です。空気を冷やす際に出る結露水をここで受け、室外に出してやります。
 
最近ではお掃除ロボット等の機能が増えて構造も複雑化してきていますが基本的な構造は6点です。この中で臭いに大きく関係する部品はファン、熱交換器、フィルター、ドレンパンです。
これも皆さん良くご存知の事で、エアコンクリーニングはこの4点を中心に実施されていますよね。
 
◆臭いは空気の循環と水滴に関係する
皆さんが重点的にクリーニングをする部位は良く考えて見ると、冷房運転中に水滴がついている部分ではありませんか、臭いは室内の空気と一緒に吸い込まれたたばこのヤニや人の汗またホコリやチリ等が水滴と一緒になりカビや雑菌が繁殖して嫌な臭いを生み出していることが大半だからです。
汚れ、カビ、雑菌の付着は水滴の多いところほど付着、増殖しやすくなります。
 
 
臭いが落ちていない
◆汚れ、カビ、雑菌は表面からは見えないところにも付いている
水滴の付着は熱交換機だけとは限りません、ケースの奥やファンにも付着します。
そして、ドレンパンにも同様です。
ドレンパンと言っても水滴受ける部分だけではありません、冷気が当たる部分は全体に水滴が付着しています。※熱交換器周辺と冷気の通過する部分は水滴が付着していると思って間違いありません。
水滴の付着する部分は汚れやカビ、雑菌が付きやすいとなれば、ケースの奥、熱交換器裏側のような表面からは見えないところにも、当然汚れ、カビ、雑菌は付着していることになります。
見えるところは勿論ですがエアコン奥や熱交換器裏側の表面化からは見えない部位まで洗浄しないと汚れや、臭いは完全に落ちないことになります。
 
 
◆メーカーが実施するエアコンクリーニング
我々メーカーもお客様に頼まれればエアコンクリーニングを実施します。
その際、分解はドレンパン、ファンの脱着を基本としています。
表面からのエアコンクリーニングだけではエアコンの奥に潜んだ汚れ、カビ、雑菌が完全に除去できないからです。
汚れ、カビ、雑菌等は熱交換機の裏側やケースの奥に潜んでいるので、ドレンパンやファンまで外さないと洗浄できません。
また、シロッコファンの羽の裏側にこびりついた汚れは簡単には落ちないので洗浄液に漬けてから高圧洗浄します。
ドレンパンにはヘドロ状の汚れが発生しているケースもあり、洗浄液を上から流しただけでは洗い流せないこともあるからこれも外して洗浄します。
いかがですか皆さんは完全に汚れを落としていますか、ドレンパンやファンを脱着しない洗浄でも、今までは臭いがしなかったと言われる方、今までが運が良かったと思ってください。

お客様の注文と、御社の価格やメニューがあっていないことも多いです。
作業前に、作業内容や匂い残りの可能性はお話しされた方がいいでしょう。
 
ここまでは洗浄不足の話でしたが、エアコンクリーニングの臭いについては、お客様の家の事情が関係する場合もあります。
◆ペットは要注意
極端な例ですが、
ペット(犬、猫)の多頭飼いをしているお客様です。
ペット可愛さに24時間エアコンを運転されている方がいます。
この場合の注意事項はペットのオシッコもその部屋でしているので要注意です。(結構ペット臭がきつい場合は特に注意です)
頑張ってクリーニングをして臭いを消したとしても短期間で臭いが発生してしまいます。
短期間で臭いが発生することを事前に話をしておかないと中にはクレームとなることもあります。
私の経験で恐縮ですが、あるブリーダーさんで使用されていたエアコンをクリーニングした直後に、室内機でガス漏れが発生して交渉の結果商品交換をしたことがあります。(ガス漏れの原因はペットの尿が影響しています)
交換後もブリーダーさんから臭いで何度か呼ばれ、洗浄しては直ぐに臭いが出てしまい、何度も繰り返した後、またもやガス漏れが発生しました。
原因がペットのあることを説明したのですが納得されず、結局商品の買い取りを行い、他メーカーのエアコンに切り替えていただいたことがあります。
臭いが短期間で出てくることを最初にお話しをしていないばかりに、以後何度説明をしても臭いとしかとっていただけなかったようです。
その後、切り替えたメーカーのエアコンも同じ運命を辿ったようで、再度我々の商品を購入すると私のところに電話がありました。
臭いやガス漏れについて補償はできない旨お話をしましたところ覚悟していたようで、修理だけは面倒を見て欲しいと懇願されたことがあります。
ブリーダーさんは極端な例ですが、ペットの多頭飼いをされているお宅のクリーニングをされるときは、臭いは短期間で再発の可能性があることを事前お話し、ご了承いただいて上で作業されることをお勧めします。