『エアコンクリーニング業者必見。PART3 メーカー修理担当が教えるトラブル対策術 エアコンが冷えないクレーム編』
エアコンの修理依頼で一番多いのは「冷えない」です。
当然と言えば当然のことなのですが、でも、冷えないからと言っても故障とは限りません。
大半のユーザーは「冷えない」=「故障」となるのですが、実は機械の故障ではなくても「冷えない」と言うことが結構あります。
その中には、冷えない時はエアコンクリーニングで解決出来ると思っている方もおられるようで、エアコンクリーニングをしても冷えないと言ってくるお客様もいらっしゃいます。
※メーカーとしては冷えないからと言ってエアコンクリーニングを勧めたりはしません。
エアコンクリーニングの業者さんの立場で考えると、エアコンクリーニング後に冷えなくなったと言われることほど悩ましいことは無いですよね
◆エアコンクリーニング後に冷えなくなった
エアコンクリーニング後に冷えなくなったと言われるときは以下のケースが考えられます。
1.作業前から冷えていなかった
2.作業ミス
3.作業後偶然の故障
4.作業後にエアコン周辺の環境が変わった
※室内機の脱着は想定外です。
1.作業前から冷えていなかった
意外ですが前述のように冷えないからエアコンクリーニングを依頼したと言われる方がいます。
作業前から冷えていなかったのです。
フィルターや熱交換器の目詰まりで冷えが鈍いのならエアコンクリーニングで改善しますが、ガス漏れや故障ならエアコンクリーニングでは改善しませんよね、これは我々の常識ですが、お客様の常識ではないと思ってください。
後のクレームを避けるためにも作業に入る前にはエアコンが正常に運転するか冷えは正常か状態確認を必ずしましょう
※冷えの確認は運転後5~10分経過後の安定状態で吸い込み温度と吹き出し温度に10℃程度の差があれば正常と思ってよいでしょう。
2.作業ミス
注意して作業しましょうというだけしかありませんが、作業ミスが起因する故障は部品の付け忘れや電気系の養生不足が目立ちます。
部品の付け忘れは特に電気系のコネクター接続です。
サーミスタ、ファンモータ、ルーバーモーター等のコネクターが多いようです。
見え難いところにコネクターがあるので、隠れて気づかずに付け忘れることが多いので注意してください。
電気系の養生はエアコンクリーニングの基本中の基本ですが、養生不足と思われるモーターや基盤の故障を見かけます。
モーターの場合組み立て完了直後は運転していてもしばらくすると動かなくなることもありますので養生は慎重にお願い致します。
養生がしっかりしていても電気系周辺には安易に洗浄液や水を当てない注意も必要です。
3.作業後偶然の故障
これは作業ミスではないのですが、エアコンクリーニングをして間もない故障は作業ミスが原因とお客様は思いたくなるようで業者さんとしては説明に困ってしまいますよね、出来る対策としては、作業完了後にエアコンをお客様自らの手で動かしていただき業者さんと一緒に動作に異常がないこと、冷えは正常であることを確認していただくしか手はなさそうです。
※メーカーの立場からすると、明らかにエアコンクリーニングと関係のない部位(室外機)の故障であれば、エアコンクリーニングは故障には関係ないと説明できますが、室内機側の故障となると判断がつき難いので、メーカーとしてはどちらの見方にもなれません。
4.作業後にエアコン周辺の環境が変わった
エアコンクリーニング後にエアコン周辺の環境が変わって冷えなくなったと言うケースはあまり多くありませんが、修理の依頼の中で稀に周辺環境の変化で冷えないといわれることがありますので、覚えておいて損はないと思いますので列記しておきます。
●室外機(外の機械)に日光が直接当たる
樹木の伐採、隣家や塀の撤去等で室外機に直射日光が当たると、室外機の温度が異常に上昇して冷媒温度を下げられなくなります。
そうなるとエアコンの冷えが鈍くなります。(特に西日はきついです。)
●室外機の周りが塞がれている
室外機の送風が阻害されると、室外機周辺の温度が上昇して冷媒温度を下げることが出来きなくなるため冷えが鈍くなります。
●室内機吹き出し口近くに棚等の風の流れを塞ぐものがある
吹き出された冷風が障害物(棚、洗濯物等)に当たり室内を循環することができずにエアコンに戻ってくるためエアコン周辺しか冷えません。
温度センサーは吸い込み口付近の温度で室温を判定するので、部屋全体が冷えていなくてもエアコン周辺の温度が設定温度に下がれば運転を停止します。
まとめ
エアコンクリーニングの作業を実施される時は以下のことを忘れず実施してください。
1.作業前にエアコンの冷え具合と動作の確認
2.電気系部品の養生をしっかりとする(安易な気持ちで手は抜かないこと)
2.洗浄後の組み立てはモーター、センサー等のコネクターの取り付けを忘れない
3.作業完了後はお客様に冷え具合と動作を確認していただく